実際に脚本を作成するときにも、それをグラフ化してイメージしながら脚本が書かれることもあるそうだ。
映像を構成する各カットのレイアウトや構図について、望遠と広角の違いや、3分割法、黄金比、シンメトリー構図などで説明されている物は多いが
どういったときにそのツール(技法)を使うとより効果的かといったところについてあまり言及されていない、と感じていた。
あくまで表現の世界なので、「こういう場面ではこうしなければいけない」と決めつけてはいけないことは承知の上で、
”緊張と緩和”をキーワードにすると、指針となるような考え方を見いだせるのではないかと思った。
■カメラの画角(焦点距離、レンズのミリ数)
カメラのレンズにおいて、人間の目線に近い見え方をする約28mm~70mmくらいの焦点距離(画角)が、標準域と言われている。28mm~70mmと幅がもたれているのは、どこかを注視したり、広い景色全体を見ようとしたりしていないような通常時は、中央値の50mmくらいで、
どこか一点を注視していると70mmなど望遠よりの印象に、
全体を見ようとしている時は28mmなど広角よりの印象に近くなるからだ。
この「人間の普段見ている感覚」から外れた画角である、約28mm以下の広角、
約85mm以上の望遠による画を見た時に、普段見ている感覚とかけ離れているため、
人間は緊張感を覚え印象に残るのではないだろうか。
超広角や魚眼レンズのような歪みが生じた画は、特に印象に残る。
■視界の傾き
通常は人間の視界は水平が保たれているため、視界が傾くことは通常の状態ではないため、視界が傾くと緊張感が生まれる。カメラも傾きが強いほど緊張度が高い映像となる。
アクションシーンでは傾けると有効な場合が多い。
■視界の遮り
視界が遮られ、見にくい状況はストレスを感じる。映像的にも手前に柵や窓枠などの遮蔽物があって、その向こうに見せたい人物などがいるような視界を遮られているカットでは、緊張感が生まれる。
遮られる範囲が大きいほど緊張度が高い。
■レイアウトの安定感 三分割法
3分割法が効果的で最も有名なレイアウトのとり方なのは、ほとんどの場面で有効な方法だからだ。実際に、プロの写真家も8割以上の写真は3分割法で画面を構成すると言っているくらい。これは多くの場合で安定したレイアウトになるからだと考えられるが、
これから大きく外したレイアウトが有効な場合も有るだろう、それが緊張感をもたせたい場面ではないだろうか、最終決戦前や主人公の葛藤を描くような場面だと有効かもしれない。
シンメトリー構図も、現実にはシンメトリーになる場面は少ないため、緊張感を与えることができるのではないだろうか。
あくまで私見ですが、構図(レイアウト)と演出の関係についてまとめてみました。
ここまでは、カメラが止まっている状態のカットに関する話になっているので、
カメラワークが入るカットについても同様に考察できるのでは?と思い始めたので
また時間があれば考察してみます。
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